賃貸不動産経営管理士 2022 過去問 解説付き 賃貸士
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Over 賃貸不動産経営管理士 2022 過去問 解説付き 賃貸士
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【賃貸不動産経営管理士とは】
人々の生活の基盤となる住居について、日本では全体の30%超が賃貸住宅であると言われています。この賃貸住宅を適正に維持・管理していくため、知識・技術・倫理観をもって対応するスペシャリストが「賃貸不動産経営管理士」です。
1. 賃貸管理業務とは
賃貸管理とは、貸主から依頼を受け、借主を募集し賃貸借契約を締結することから始まり、契約期間中の賃料収受や契約条件変更、また契約の更新や終了などの業務を行うことです。また集合住宅の場合には共用部分の維持保全も担当します。この賃貸管理には大別して管理受託方式とサブリース方式の2つの事業形態があります。
【管理受託方式】
管理受託方式において管理業者は、貸主と管理受託契約を締結し、その契約に基づき、賃料や敷金の受領、契約の更新事務、建物設備の点検・維持管理などを行います。この場合、貸主と直接賃貸借契約を結ばないというのが後述するサブリース方式と大きく異なる点です。
【サブリース方式】
サブリース方式において管理業者は、貸主から賃貸住宅を借り受け、つまり管理業者自身が転貸人となり、その賃貸住宅を第三者である転借主に転貸するとともにその物件の管理を行います。つまり、管理業者はその物件の貸主および借主というそれぞれの立場に応じた管理を行う必要があります。
2. 賃貸管理の現状(時代背景)
住宅の賃貸は古くからあるものでしたが、以前はいわゆる「大家業」と呼ばれるように免許を持たない賃貸人自らが物件の管理を行うことが一般的でした。しかし、時代の変遷とともに賃貸住宅は増え続け、この間に賃貸管理に関して順守すべき法律・ガイドラインも増え、賃貸管理を取り巻く状況も変容してきました。これに呼応するかのように物件のオーナから賃貸住宅の管理を一括して受託する事業者が台頭し、賃貸管理を依頼するケースが増えてきました。賃貸住宅経営の80%以上は個人経営で賃貸住宅のオーナの高齢化も進んでいることも、物件オーナによる自主管理が難しくなっている一因です。
不動産に関する法律は、1952年に「宅地建物取引業法」による不動産の取引の健全化、そして2000年に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」による分譲のマンションの管理の適正化、といった法整備がされてきましたが、賃貸不動産の管理については、その後も特別な法規制やルールなどが存在しない状態でした。法整備がなされていないために中には不良業者も存在し、家賃保証を謳うサブリース業者と家主のトラブルや非登録サブリース業者の破産事例など、大きな社会的問題に発展することもありました(少し前に大々的に報道されたシェアハウス投資問題などが記憶に新しいところです)。また、賃貸管理の現場では敷金の返還や契約更新などのトラブルが年々増加している状況があったのです。
3. 登録制度
こうした流れを受け、国土交通省は2011年(平成23年)12月に貸主や借主の利益保護を図る目的で「賃貸住宅管理業者登録制度」を創設し、賃貸住宅管理を行う事業者に登録を促すと同時に、登録者に対して一定のルールのもとで適切な賃貸管理業務を行うことを義務付けました(開始当初は任意登録)。この制度の中で、賃貸住宅管理にかかわる様々な法令に関する深い知識や、業務に関する豊かな経験を持つ者として、業界団体である一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会の「賃貸不動産経営管理士」が規定されました。
賃貸住宅管理業者登録制度は、賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保護を図るだけでなく、登録事業者を公表することにより、借主たる消費者は管理業者や物件選択の判断材料として活用することが可能となります。したがって、この登録制度によって、賃貸住宅管理におけるトラブルが回避され、不適切な業者が淘汰され、賃貸住宅管理業の健全な発展に寄与することが期待されています。
※一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会は、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、公益社団法人全日本不動産協会を構成団体としています。
4. 賃貸不動産経営管理士の役割
ここまでに述べた時代背景の中で賃貸住宅管理業者登録制度の要となる賃貸不動産経営管理士の役割が重要となります。すなわち、アパートや賃貸マンションなど賃貸物件を管理するプロフェッショナルである賃貸不動産経営管理士は、単なる賃貸不動産管理の実務だけでなく、借主に対しては安心・安全・快適な住環境を提供し、また貸主に対しては不動産価値の維持・向上へ的確なコンサルティングを行うことが求められています。
2016年(平成28年)9月には登録制度が改正され、登録業者に対して以下が義務付けられました。
事務所ごとの1名以上の賃貸不動産経営管理士等設置
貸主に対する賃貸不動産経営管理士等による重要事項説明
重要事項説明時の管理士証の提示等
貸主に対する契約書面交付について賃貸不動産経営管理士等の記名押印
この改正により宅地建物取引士と同じように独占業務のようなものが与えられ、賃貸不動産経営管理士等の国家資格化が期待されるようになりました。賃貸不動産経営管理士への社会的要請は着実に高まってきています。
さらに、最近始まった住宅宿泊事業、いわゆる民泊サービスにおいても賃貸不動産経営管理士が注目されています。住宅宿泊事業と賃貸管理業では業態が異なりますが、オーナの物件を他人に貸し出すことは同じなので、賃貸不動産経営管理士が有する賃貸管理や諸法令の専門的な知見の活用が期待されているからです。実際に住宅宿泊事業法では、一定規模以上の住宅宿泊事業者には住宅宿泊管理業者への住宅宿泊管理業務の委託が義務付けられており、この住宅宿泊管理業務を賃貸住宅管理業者が行うことが想定されています。
5. 今注目されている理由
これまでに述べた賃貸住宅管理業者登録制度はあくまでも任意登録制度に過ぎなかったのですが、賃貸管理業務にまつわる諸々の問題への対処として、2018年(平成30年)10月に「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」がまとめられ、その中で今後の取組として「法制化に向けた検討を進めるべき」といった文言が記載されました。そして、2020年3月の閣議決定を経て、ついに2020年6月12日国会で「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が可決成立し、正式な法律として施行されることになっています。この法律によって、賃貸住宅管理業を営むには登録が必須となり、その中で必置義務・独占業務が与えられている賃貸不動産経営管理士が国家資格化される可能性が非常に高いと言えます。※施行当初は経過措置のため「業務管理者」として●年以上の業務経験者や宅建士も認められる予定です。
また国家資格化を睨み、2020年の賃貸不動産経営管理士試験は、これまでの90分40問の試験から、宅地建物取引士試験、管理業務主任者試験およびマンション管理士試験と同様の120分50問の形式となります。試験の難易度そのものは、昨年までの状態から急激に変化する可能性は少ないと思いますが、徐々に難化することも予想されています。
国家資格となる直前の今こそ、資格取得の絶好チャンスなのではないかと考えます。
6. まとめ
賃貸不動産経営管理士は、国民生活の基盤となる賃貸住宅を取り巻く環境の継続的改善に欠かせない重要な役割です。そして、近々国家資格化の可能性も高く、新しい士業として認知されていくのは間違いありません。
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