この久生十蘭短編集 蝶の絵・川波・春雪・白雪姫について
久生十蘭短編集エンタテインメント文学系。蝶の絵、川波、春雪、白雪姫の4作品を収録。
春雪
だいたいが屈託しない気質で、あらゆる喜びを受けいれられる人生の花盛りを、しかめッ面《つら》で暮し、せっかくの青春を、台なしにしているようにも見えなかったが、それにしても、十七から二十三までの大切な七年間を、戦争に追いまくられてあたふたし、とりわけ最後の二年は、池田の二人の娘を連れて、茨城県の平潟へ疎開し、そこから新潟、また東京と、いつ見ても、ズボンのヒップに泥がついていた。そうしたあげくのはて、過労と栄養失調、風邪から肺炎と、トントン拍子のうまいコースで、ろくすっぽ娘らしい楽しさも味わわず、人生という盃から、ほんの上澄《うわず》みを飲んだだけで、つまらなくあの世へ行ってしまった。
『藍天文庫』とは?
著作権切れの小説を読むアプリです。ゲームのテキストのように一文字ずつ表示され、さらに、スマホ画面が文字でいっぱいにならないように配慮しています。
短いセンテンスでタップを促すことで読みやすくするとともに、画面に動きがあるので読み飽きず、最後までサクサク読めてしまうと個人的には思います。
私はもともと読書好きでしたが、目の疲れ・乱視などで本を長時間読むことが困難になったため、自分用に作ったアプリです。このアプリだとサクサク読める、と個人的には実感していますし、実際にサクサク読んでいます。
作成したアプリはまずすべて自分が読み、それから読みやすいように文章の切れ目やボタンの位置などなどインターフェースもどんどん工夫していき、いろいろ手直ししたものを公開しています。
アプリ化される作品の基準は?
アプリ化される作品は、私が気になって読んでみた作品です。まずは自分用にアプリ化して、デバッグがてらすべて読み、それからGooglePlayに公開しています。それぞれについての個人的な感想や評価はもちろんありますが、あえて紹介文に記載していません。
アプリ化してほしい作品があればご連絡ください(青空文庫にあるものに限りますよ)。




