この久生十蘭短編集 雲の小道・黒い手帳・湖畔について
久生十蘭短編集 雲の小道、黒い手帳、湖畔の3作品を収録。エンタテインメント文学系
湖畔
この夏、拠処《よんどころ》ない事情があって、箱根蘆ノ湖畔三ツ石の別荘で貴様の母を手にかけ、即日、東京検事局に自訴して出た。
審理の結果、精神耗弱と鑑定、不論罪の判決で放免されたが、その後、一ヵ月も経たぬうちに、端無くもまた刑の適用を受けねばならぬことになった。これは普通に秩序罪と言われるもので、最悪の場合でも二年位の懲役ですむから、このたびも逸早く自首して刑の軽減を諮《はか》るのが至当であろうも、いまや自由にたいする烈々たる執着があり、一日といえども囹圄《れいご》の中で消日するに耐えられぬから、思い切って失踪することにした。
『藍天文庫』とは?
著作権切れの小説を読むアプリです。ゲームのテキストのように一文字ずつ表示され、さらに、スマホ画面が文字でいっぱいにならないように配慮しています。
短いセンテンスでタップを促すことで読みやすくするとともに、画面に動きがあるので読み飽きず、最後までサクサク読めてしまうと個人的には思います。
私はもともと読書好きでしたが、目の疲れ・乱視などで本を長時間読むことが困難になったため、自分用に作ったアプリです。このアプリだとサクサク読める、と個人的には実感していますし、実際にサクサク読んでいます。
作成したアプリはまずすべて自分が読み、それから読みやすいように文章の切れ目やボタンの位置などなどインターフェースもどんどん工夫していき、いろいろ手直ししたものを公開しています。
アプリ化される作品の基準は?
アプリ化される作品は、私が気になって読んでみた作品です。まずは自分用にアプリ化して、デバッグがてらすべて読み、それからGooglePlayに公開しています。それぞれについての個人的な感想や評価はもちろんありますが、あえて紹介文に記載していません。
アプリ化してほしい作品があればご連絡ください(青空文庫にあるものに限りますよ)。




