Sunoは15秒ほどで楽曲を生成する。それだけ聞くと魔法のように思えるが、実際のところ、どんなプロンプトを入力し、どのモードを使うかによって結果は大きく変わる。このガイドでは、Sunoの3つの作成モード、効果的なプロンプトの書き方、公式ドキュメントには書かれていない実用的なノウハウを解説する。
3つの作成モード
シンプルモードは、「失恋のアコースティックバラード」と入力すれば、歌詞からアレンジまですべてSunoが自動生成する。手軽で結果も悪くないが、一切の制御が効かない。セクションタグや詳細な指示をプロンプトに含めても無視されるため、構造を細かくコントロールしたい場合は次のモードを使う必要がある。
カスタムモードは、Sunoを本格的なツールとして使うためのモードだ。歌詞入力欄とスタイル記述欄に分かれており、[Verse]、[Chorus]、[Bridge]といったセクションタグで楽曲構造を指定できる。スタイル欄ではジャンル、雰囲気、テンポ、楽器編成、ボーカルの種類を詳細に記述する。構造タグが確実に機能するのは有料プラン(Pro以上)のみである点に注意が必要だ。
サウンズモードはボーカルなしのインストゥルメンタルトラックを生成する。BGM、ゲームのサウンドトラック、ループ素材の作成に適している。「ローファイヒップホップ、ヴァイナルノイズ、85BPM、ウォームなベース、ジャジーなピアノサンプル」といった音の質感を記述する。
効果的なプロンプトの書き方
安定して良い結果を出すプロンプトの構造は以下の通りである。
[ジャンル/サブジャンル], [雰囲気/感情], [主要楽器], [テンポ], [ボーカル描写], [プロダクションの詳細]
弱いプロンプト:「ポップソングを作って」→ 無難だが特徴のない凡庸な曲が生成される。
強いプロンプト:「フィンガーピッキングのアコースティックギターとブラシドラムによるインディーフォーク、メランコリックだが希望を感じさせる、かすれ気味の温かい男性ボーカル、90BPM、サビでストリングスが控えめに入る」
両者の差は歴然としている。具体的な音楽的指示があるほど、Sunoの出力の質は上がる。
公式ドキュメントに書かれていない重要なポイント:
プロンプトは英語で書くのが最も効果的だ。Sunoの学習データは英語に偏っており、英語の音楽記述子を最も正確に理解する。日本語の歌詞を使いたい場合は、カスタムモードで自分で歌詞を書くのが確実である。Sunoは日本語の歌詞を与えられればそれなりに歌えるが、自動生成の品質は安定しない。
ジャンルのブレンドは期待以上に機能する。「ミッドウェストエモ+ネオソウル」のような組み合わせでも興味深い結果が得られる。Sunoはジャンルを離散的なカテゴリとしてではなく、音響属性のベクトルとして理解しているようだ。
除外指定(ネガティブプロンプト)は存在しない。「オートチューンなし」「ドラムなし」といった指示は効かない。入れたくない要素は単に言及しないことだ。
カスタムモードでの歌詞作成
セクションタグを使って歌詞を構造化する。
[Verse 1]
雨音で目が覚めた
いつもと変わらない朝
冷めたコーヒー、悪いニュース
置き去りにした人生を思う
[Pre-Chorus]
でも今日は空気が違う
[Chorus]
引きずられたりしない
同じ重荷は背負わない
置いたものは拾い上げて
この街を歩き出す
送信前に歌詞を声に出して読むこと。口にしたときに不自然に感じる歌詞は、Sunoが歌っても不自然に聞こえる。自然なリズムと韻を持つ歌詞は、ボーカルパフォーマンスの品質を大幅に向上させる。
拡張(Extend)機能の活用
ExtendはSunoの中で最も過小評価されている機能だ。楽曲の任意の地点から続きを生成でき、サビの後にもう1コーラス追加したり、ギターソロセクションを挿入したり、アウトロを付け足したりできる。4分を超える楽曲も、Extendを使えばセクションごとに継ぎ足して作ることが可能だ。
効果的な使い方:新しい素材を始めたい正確なポイントを見つける。サビの終わり、伸ばした音符の後、ドラムフィルの直後など、自然な切り替え地点を選ぶ。そこからExtendを実行し、新しい歌詞やスタイル指示を与える。
問題の修正にも使える。2番の歌詞が弱いがそれ以外は良い場合、1番のサビ終わりからExtendを実行して新しい歌詞で2番を作り直せる。楽器ソロを入れたい場合は、「ペンタトニックブルースのギターソロ、クランチトーン、荒々しく感情的に」といったスタイルプロンプトで拡張する。
Sunoが苦手なこと
曲中のテンポチェンジは信頼性が低い。Sunoは一度決まったグルーヴに固執する傾向がある。ハーフタイムのブリッジや倍速のアウトロが必要な曲では、何度も再生成が必要になることが多い。
5分を超える長尺の楽曲は構造的一貫性を失う。モデルのアテンションウィンドウには限界があり、4分を超えると繰り返しや迷走が発生しやすくなる。V5.5で改善されたが、完全には解決していない。
楽器ソロは出来不出来の差が激しい。時に印象的なフレーズが生成されることもあるが、多くの場合「AIが即興を試みた」としか言いようのない凡庸な結果になる。本格的なソロが必要なら、自分で演奏を録音して重ねる方が確実だ。

