薬剤師国家試験 無料 過去問題集〔必須問題・薬学理論・薬学実践〕2021年【全分野/全科目】解説付き

薬剤師とは

薬剤師は、医薬品に関する知識や調剤技能を持った薬の専門家です。薬剤師の職務や資格は薬剤師法によって規定されています。人命にかかわる責任の重い仕事ですが、患者の治療や人々の健康に貢献できる、やりがいのある仕事でもあります。

薬剤師はおもに薬局や病院・診療所に勤務し、医師が出す処方箋にもとづいて調剤、服薬指導などを行います。そのほかにも、患者とのコミュニケーションや新しい医薬品に関する知識の吸収なども大切な仕事です。

また、薬剤師の男女比率は約4：6となっており、女性の比率が高いという特徴があります。多様な働き方や職場が選べることもあり、女性に人気の職種となっているようです。

薬剤師になるには

薬剤師になるには国家資格が必要です。6年制の薬科大学や大学の薬学部などで学び、薬剤師国家試験に合格する必要があります。

6年制の薬学部には国公立大学と私立大学がありますが、私立大学の学費は6年間で1,200万円以上かかることが多く、国公立大学の約350万円と比べて高額になっています。そのため、国公立大学の薬学部は人気が高く、難易度も高い傾向があるようです。大学を選ぶ際は、各大学の国家試験合格率などのデータも参考にすると良いでしょう。

大学では一般的に1～4年次で薬学に関する専門知識を学び、4年次の終わりに全国共通の試験である薬学共用試験を受けます。共用試験に合格すると、5年次に病院と薬局でそれぞれ11週間の実務実習が行われます。6年次は卒業研究に取り組み、薬剤師国家試験の準備をし、受験に臨みます。

薬剤師国家試験に合格後、厚生労働省に薬剤師免許の交付を申請し、薬剤師名簿に登録されると、薬剤師として仕事をすることができるようになります。

薬学共用試験

5年次以降に行われる実務実習では、病院や薬局で実際に患者と接するため、一定のレベルの知識や技能が必要です。そのため、実務実習を行うレベルに達しているかを評価する、全国共通の薬学共用試験が実施されます。4年次の12月～1月に各大学で実施される薬学共用試験に合格しなければ、実務実習に参加することはできません。

薬学共用試験は以下の2種類があり、どちらも合格する必要があります。

・CBT（Computer-Based Testing） 主に知識を評価する試験で、パソコンを使って受験します。問題は受験生ごとにランダムに出題されます。

・OSCE（Objective Structured Clinical Examination） 技能と態度を評価する試験で、薬剤の調整などの実地試験と、模擬患者を相手にしたシミュレーションテストが行われます。

薬剤師国家試験

薬剤師国家試験は年1回、2月下旬から3月上旬に2日間にわたって実施され、3月に合格発表が行われます。受験資格は、6年制の薬学課程を修了して卒業、または卒業見込みの者となっています。また、入学年度などの条件はありますが、4年制の薬学課程を修了して卒業し、大学院で修士または博士課程を修了した者にも受験資格が与えられます。

試験は必須問題と一般問題（薬学理論問題・薬学実践問題）に分かれており、出題はマークシート形式となっています。6年制の薬学課程を修了した人が初めて受験した2012年以降、合格率は概ね60％台～70％台を推移しています。

薬剤師の仕事内容

薬剤師の仕事内容は職場によって異なります。厚生労働省の調査では、おおよそ薬剤師の55％が薬局、20％が病院・診療所、15％が医薬品関係企業で働いています。職場ごとのおもな仕事内容は以下の通りです。

薬局

調剤薬局では、医師が出した処方箋にもとづいて薬を調合する「調剤業務」、薬の情報や飲み方の説明、アドバイスなどを行う「服薬指導」、薬の重複や、飲み合わせによる副作用などを防ぐため、患者が服用した薬やアレルギーの有無などを確認する「薬歴管理」、処方箋の内容について疑問がある場合に、発行した医師に問い合わせる「疑義照会」がおもな仕事です。このほかにも、医薬品の在庫管理なども行います。

また、患者一人一人とコミュニケーションをとり、薬の服用による体調の変化や副作用の有無などを聞き取り、記録していくことも大事な仕事です。

ドラッグストア

ドラッグストアの場合は、お客様の症状や要望に合ったOTC医薬品（医師の処方箋がなくても購入できる一般用医薬品）の提案や説明、販売を行います。調剤薬局と異なる点として、接客やレジ打ち、品出し、棚卸などの業務があるほか、店舗の売り上げを伸ばすための工夫も必要となります。

病院・診療所

外来患者や入院患者を対象とした調剤業務、服薬指導、薬歴管理、疑義照会のほかに、注射や点滴の調剤や管理なども行います。

また、医療機関勤務の特徴として、医師や看護師などほかの医療スタッフとコミュニケーションをとり連携をはかりながら、チームとして患者の治療にあたっていくことも必要になります。

医薬品関連企業

医薬品の研究や開発、新薬の臨床試験である治験に関する説明や相談、医師や薬剤師への医薬品の情報提供、医薬品に関するデータの管理や資料の作成などを行います。

そのほかにも公務員として保健所や研究所、なかには麻薬取締官として働く人もいるなど、薬剤師の活躍の場は多岐にわたります。近年では高齢化の進行により、老人介護施設や在宅医療などに関わる薬剤師も増えています。

また、漢方や生薬の専門など、薬剤師に関連したさまざまな認定や専門資格もあります。専門性を高めるために研修などを受けて資格をとり、各分野に特化した職場で仕事をする人もいます。

薬剤師の求人傾向

薬剤師の求人は、社員以外にもアルバイトやパートの募集も多く、柔軟な働き方ができることが特徴です。薬剤師のおもな職場は調剤薬局や病院ですが、なかでも薬局の数は全国で約58,000軒あるため、自宅や駅の近く、ドラッグストアやショッピングセンター内など職場の選択肢も多く、ライフスタイルに合わせて仕事を見つけやすくなっています。

病院の求人の場合は、病院内での実務経験が歓迎されることもありますが、薬剤師資格を持っていることだけが条件の場合が多く、実務経験やブランクなどもあまり問われないようです。

OTC医薬品の販売を中心とするドラッグストアの求人も数多くあります。ほかの職場と比較して接客業務が多くなるため、人と接することが好きな人にはおすすめです。地域によっては英語対応をしている薬局もあり、英語力を生かして仕事をすることもできます。

人の役に立つと実感しやすい

薬剤師は薬という人々の生命や健康に重大な影響をあたえるモノを扱っています。集中力やミスのない性格な仕事が求められるものの、患者さんが健康になったり、多くの人の命が救われたりする場合もある仕事です。

そのため、他の職業と比較しても人に役に立っているという実感を得やすいのもやりがいの一つです。